離婚請求訴訟における請求放棄の許否
最判平成6・2・10民集48巻2号388頁
<事実>
XとYとは、昭和18年10月に結婚式を挙げた上、同居を開始し、昭和30年9月に婚姻届出をした夫婦である。
両者間には、昭和21年に長男が、昭和25年には長女が出生したが、両名ともすでに婚姻してそれぞれ3人ずつ子をもうけている。
本件口頭弁論終結の時点で、Xは66歳、Yは64歳、長男は45歳、長女は41歳である。
XとYは、その性格の相違やXの女性関係を疑わせる行動などから口論が絶えず、Xは時にはYに暴力を振るったこともあり、夫婦関係は冷えてきて、昭和40年頃からは性関係もなくなっている。
Xは昭和44年頃からA女と知り合って男女関係をもつようになり、2人の間には昭和47年に女子、昭和49年に男子、昭和56年に男子が出生している。
Xから離婚請求の訴えが提起されたが、Yは離婚請求が認容されることを条件として予備的に財産分与の申立を行なった。
1審はXの離婚請求を認容するとともにXからYへの高額の財産分与を命じたので、Xは控訴したが、控訴審である口頭弁論期日において離婚請求を放棄する旨陳述した。
しかし原審は、人事訴訟ではその対象となる身分関係が当事者の自由な解決に委ねることのできないものであり、審理については職権探知が行なわれることから、いったん訴えが提起された以上は当事者による任意の処分は許されないと判示して、控訴を棄却したので、Xは上告して離婚請求の放棄は認められるべきであると主張した。 |
<争点>離婚請求訴訟において請求の放棄をすることが認められるか。
<判旨>原判決破棄
本件訴訟は、平成4年9月9日に上告人が請求を放棄したことにより終了した。
「離婚請求訴訟について請求を放棄を許さない旨の法令の規定がない上、婚姻を維持する方向での当事者による権利の処分を禁じるべき格別の必要性もないから、離婚請求訴訟において、請求を放棄することは許されると解すべきである」。 |
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