宗教活動と離婚原因
広島地判平成5・6・28判夕873号240頁
<事実>
Y男とY女は、昭和54年5月に婚姻の届出をした夫婦であり、その間に1男1女が出生している。
Yは、昭和57年9月頃からエホバの証人の信者の訪問を受け、同60年5月頃からその集会に参加を始め、夫婦の間柄が円満を欠くようになった。
Xは、エホバの証人の教義を強く嫌悪し、2人の子供にその教義が教え込まれることに強く反対している。
Yがエホバの証人の集会に参加しようとしたときにXがYに暴力を振るうこともあって、Yは同61年5月に実家へ帰り、以後XとYとは今日に至るまで7年間にわたって別居している。
両者間の2人の子は、昭和61年8月以降はXが養育している。
Xは、Yの宗教活動を理由にYとの婚姻関係に継続し難い重大な事由があると主張して本訴を提起し、離婚判決および2人の子の親権者をXとするよう求めた。
Yは、XがYの信仰を尊重し、Yも宗教上の信条に固執しないようにすれば、夫婦共同生活の回復は可能であると反論して請求棄却を求めた。 |
<争点>夫婦の信仰が異なる場合に、配偶者の宗教活動を理由に離婚を求めることができるか。
<判旨>原告と被告は離婚する
原告と被告間の長男Aおよび長女Bの親権者を原告と定める。
「夫婦間においても信仰の自由は尊重されなければならない。
しかし、信仰が新車の単なる内心に止まらず、教義の実践を行い、それが家庭生活や子供の養育に影響を与える場合は、夫婦協力義務の観点から一定の制約を受けることはやむを得ないところである」。
「エホバの証人は前記のような協議を持っており、Xが2人の子供に右教義を教え込まれたくないと考えたり、家族一緒に正月を祝い、先祖供養のため墓参りをする等世間一般に行われていることはしたいと考えて、Yに対し右宗教に傾倒しないようにその宗教活動の中止を求めても、右教義の内容に照らし、Xだけが間違っていると非難することはできず、Xの考え方や気持ちを無視しているYにも責任があるというべきである」。 |
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