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大株主の短期売買益を会社へ返還
山田さんは、株式会社田中の大株主で、以前は経営陣にいた人で、現在は隠居暮らしをしていました。
ある時、以前の取引相手であった斉藤さんが訪問し、斉藤さんが言うには、「株式会社田中が大手グループと提携する。」ということを言っていました。
それを聞いた山田さんは、株式会社田中の株を約20万株1株200円で買い、その後、株式会社田中は大手グループと提携することを発表して、株価は一気に400円まで上がりました。
山田さんは、その株を売り、数千万円の利益を上げたのですが、その売買であげた利益は証券取引法が禁ずるところの主要株主の短期売買に当たるので、儲かった数千万円を会社に返還して欲しいと言ってきました。
山田さんは株式会社田中の経営に関する重要な事実を知る地位にあるとみなされ、同社の株式を6ヶ月以内に売買して利益を上げた場合、その利益は会社のものになるというのが、会社の言い分でした。
新株発行、合併、解散、業務提供の決定事項など、会社の重要な情報を事前に知る立場にいる会社関係者が、その情報の公表前に株取引すると、インサイダー取引として3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金に処せられます。
この対象となる会社関係者は退職などにより関係者でなくなった後も、その後1年間は関係者だった会社の株取引を同様に規制しています。
また、証券取引法でインサイダー取引を間接的に防止する規定を設け、主要株主らの短期間の株売買を規制し、上場企業の役員や主要株主らが6ヶ月以内の持ち株売買で利益を上げた場合には、会社はその利益である短期売買益を会社に返還するようになっています。
この短期売買益返還の規定について、経済活動を保障した憲法29条に違反すると、争われた事例で、東証二部上場の会社が、短期売買で利益を上げた主要株主を相手取り、同規定に基づき利益の返還を求めたもので、最高裁は、証券取引市場の公平性、公正性を維持し、市場に対する一般投資家の信頼を確保する目的の規制で合意と判断を下しています。
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