最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
えん罪事件の被害者の損害賠償
有罪判決が確定し、長い間刑務所で拘束されていた人が再審無罪となった場合は、その人や家族の人たちは国に対し、損害賠償ができるのでしょうか?
国家賠償法1条では、「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行なうについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を与えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任する」とされており、故意又は過失に基づく違法行為の存在を被害者の方で主張・立証しなければならないとされています。
えん罪事件の被害者は、自分が無実であることを長い年月をかけて刑事裁判の場で訴え続け、勝利をつかんでも、更に新たな民事裁判を行なわなければならないのです。
これまで、再審無罪となった事件で国家賠償請求が認められて確定した事例はありません。
これには、判例上、次のような基準があって、相当厳格な要件が求められているからです。
@公訴の提起及び追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があったときは、検察官の公訴の提起及び追行は、国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為に当たらない。
A裁判官がした裁判につき違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が認められるためには、当該裁判官が、違法又は不当な目的をもって裁判したなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めえるような特別の事情がある場合であることを要する。
このような基準に従った上で、その違法行為を立証することは容易なことではなく、死刑判決から一転して再審無罪となったいわゆる松山事件の国家賠償訴訟でも、一審の仙台地方裁判所は請求を全面的に棄却しています。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|