最初にこちらのページにこられた方はトップページからどうぞ。
スポーツの練習中の怪我の損害賠償
花子さんと和子さんはママさんバレーの練習に参加しており、花子さんが和子さんにぶつかり、和子さんは右足膝内傷という重い傷害を負ってしまいました。
和子さんは、花子さんを相手取って訴え、この負傷は花子さんの過失に原因するもので、花子さんは他の会員がズボンをはいて練習をしているのに、1人だけセミタイトスカートをはいて、そのままの姿で練習に参加しています。
バレーボールは、狭いコートで数人の競技者が同時に1個のボールを追いつ追われつ、走り回る競技だから、1人が転べば、他の者に不測の事態を引き起こす危険性が高いから、この競技に参加する者には、足の動きが自由なショートパンツかズボンなどをはく義務があります。
それなのに花子さんは、セミタイトスカートをはいて練習に参加し、足の動きが自由でないためにひっくり返り、それによって傷害を与えたのだから、事故による損害を賠償する義務があるとして、治療費、慰謝料、弁護士費用を含めて37万8200円の請求をしました。
裁判所は、一般にスポーツの競技中に生じた加害行為については、それがそのスポーツのルールに著しく反することがなく、かつ通常予測され許容された動作に起因するものであるときは、そのスポーツの競技に参加した者全員がその危険をあらかじめ受忍し加害行為を承諾しているものと解するのが相当であり、このような場合、加害者の行為は違法性を阻却するものというべきである。
被告が練習に参加するに際してセミタイトスカートを着用していたことは、9人制バレーボールの練習に加わる服装としては不適切であり、本件事故の転倒もそれが原因ではないと断定できないのであるが、右服装は練習で許容されているものであり、被告が前衛を不得手としていたとはいえ、飛球をスパイクしたはずみで転倒することは予測される動作ということができるから、被告の行為は違法性を阻却するものといわなければならない。
原告は被告の過失を強調するが、スポーツが許容された行動範囲で行なわれる限り、スポーツの特殊性から離れて過失の有無を論ずるのは適切ではない。
本件の場合、花子さんにスポーツによる不法行為を構成する過失はないとしたのです。
慰謝料などの無料法律相談はこちらから
Amazonで慰謝料について調べる
|
|