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電車の網棚から鞄が落ちた損害賠償
山田夫妻は、急行電車で新婚旅行に向かい、車中、床に置いていた大きな旅行鞄が邪魔になっていましたので、夫はそれを網棚に乗せて、2人で食堂車へ食事に行きました。
帰ってくると、2人の旅行鞄が落ちて、全部の座席で仮眠中の乗客の頭に当たっていたのです。
その後、山田夫妻に3200万円の損害賠償請求がされました。
夫に対しては、旅行鞄が堅牢で相当大きく、重量もあったから、通路上か座席上に置くべきで、網棚の上に載せるときには、列車の振動を考えて、旅行鞄が落ちないような方法をとる注意義務があるのに、これらの注意を払わないで網棚にあげた結果、事故を発生させたとして、不法行為による損害賠償を請求されました。
妻に対しては、共通の荷物でしたし、同伴者で共に行動していたから、荷物の管理についても共同責任があると主張しました。
損害額は、休業補償と慰謝料で、被害者が開業している歯科医であり、事故のため入院中の休業補償として、事故がなかったら得られたであろう金額、通院中の収入減少分などで高額請求になりました。
不法行為は、故意又は過失によって他人に損害を与える行為で、行為者はその損害賠償責任があります。
夫の責任についてみると、列車の網棚にのせるということは、列車の振動を考慮する必要があり、また、荷物の大きさ、形状、内容物のバランスをすべて考えて、網棚に置くのが危険かということを判断することになります。
このような注意もせず、漫然と網棚に置いたのであれば、過失責任が問われます。
妻の責任についてみると、たとえ妻の物が入っていても、網棚にのせたのは夫であり、妻の行為ではなく、妻がこれを座ってみていても、旅行鞄の置き方などを指示していない限り関係がなく、責任を負うことはありません。
結果は、夫にのみ責任が認められました。
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