X株式会社所有のM丸とY1株式会社所有のN丸とが、昭和54年4月22日、稚内港検疫錨地において、N丸の船長であるY2の操船上の過失によって衝突し、M丸は沈没した。
Y1は、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和57年法律第54号による改正前のもの。以下「法」という。)17条に基づき、本件事故により生じた損害に基づく債権につき、Y2を受益債務者として、旭川地方裁判所に対し責任制限手続開始の申立をし、昭和54年10月29日、責任制限手続開始の決定がされ、この決定は確定した。
Xは、沈没したM丸につき、稚内港長から港湾法12条1項及び稚内市港湾管理条例8条による撤去命令をそれぞれ受けたため、サルベージ会社に請け負わせて上記沈没船を事故現場から除去させ、その費用として3900万円を支払うなどの損害を被った。
Xは本訴においてY1・Y2に対して上記損害の賠償請求をしたが、Y1らはXの請求する債権は責任制限の対象となる債権であると主張した。
原審判決は、Xの請求する債権は責任制限法3条1項2号にいうその他の権利に対する侵害による損害に基づく債権として責任制限の対象となるとした。
Xは上告した。 |