Y株式会社は旅館業を営む株式会社でその発行済株式総数7000株(本件株式)はすべてAが保有していた。
Aは昭和57年3月24日死亡し、その相続人である妻B、X(長男)、Y社代表者C(二男)、Z(三男・Yへの補助参加人)ほか4名がY社の本件株式を共同相続した。
次いで昭和60年2月23日Bも死亡し、Xほか6名の子が共同相続した。
本件株式については、共同相続人間で遺産分割について協議が調わず、また株式の帰属をめぐってY社代表者として登記されているCとXらとの間で紛争があったため、前商法203条2項所定の権利行使者の指定・通知や名義書換手続は行われていない。
B死亡の翌日である昭和60年2月24日に株主総会が開催され、CDEを取締役に、Zを監査役に選任する旨の決議(本件決議)がなされたとして、同年3月11日に登記がなされた。
Xは、この株主総会が開催されて本件決議がなされた事実は存在しないと主張して、本件決議の不存在確認の訴えを提起した。
Y社は、Xは株式名簿に株主として記載されていない、かりにAの死亡によってXが本件株式を共同相続したとしても、共有持分権者のままで株主としての権利を行使することはできない等と主張して、Xの原告適格を争った。
第1審・第2審とも、Xの原告適格が認められた上で、Xが勝訴した。
Y社は上告した。 |