X有限会社(後に株式会社に組織変更)は、Y保険会社との間で集団扱生命保険契約を締結した。
約款の中には、被保険者が保険契約者又は保険金受取人の故意により死亡した場合には、Yは死亡保険金を支払わない旨の免責条項がある。
Xの取締役は、被保険者A、その妻B、長男C及びAの弟Dであるが、AはXのワンマン経営者であり、代表取締役として業務のほとんどを支配していた。
他方Bは、経理や社会保険関係の事務を担当していた。
BはAの女性関係に悩んでおり、自宅においてAを殺害した後自殺した。
そこでXは、本件保険契約に基づき死亡保険金の支払をYに請求したところ、Yは、Xの取締役であったBがAを殺害したことが本件免責条項に該当するとして保険金の支払を拒絶した。
第1審、原審とも、BのXにおける地位がその経営上重要でないことを理由に、Bの行為をXの行為と同視することはできないとして請求を認容。
Yは上告した。 |