Y株式会社が平成13年6月28日に開催した本件株主総会いおいて、会社提出の第1号から第6号の6議案の他、Xを含む64名の株主の提案により、役員等の報酬・退職慰労金等を株主に個別開示するための定款の一部変更を求める第7号議案が付議された。
Y社は総会に先立ち議決権行使書面の賛否について集計を行ったが、これによると、会社側提案の議案について出席した個々の株主の賛否を詳細に集計するまでもなく、議決権行使書面による賛成の数だけでいずれもその議案の可決に必要な数に達していた。
他方、第7号議案については、議決権行使書面による反対の数だけで議決権を行使しうる株式の総数の3分の1を遥かに超えており、賛成が決議の成立に必要な数に達し得ないことは明らかであった。
本件株主総会において議長は、議場において、各議案ごとに賛成株主に挙手を求める方法で議決を行い、会社側提案の議案は全てそれぞれ可決された旨を報告し、第7号議案については、議決権行使書面を含めて反対多数であるから否決した旨を報告した。
ただし、出席した株主の賛否を議決権行使数を数えた上で、議決権行使書面による賛否と合算して各議案ごとの賛否についての具体的な株主数及び株式数を明らかにしたわけではない。
XはY社に対し、各議案についての賛否の株主数及び株式数を明らかにすることをY社に書面で求め、連絡がなかったため本店に赴いて確認したが、議場で賛否を表明した株主については、各議案に関する賛否数が集計されていなかった。
以上の事実関係のもとでXは、Y社が賛否の数を集計して明示しなかったことが法令に違反して又は著しく不公正であるとして決議取り消しを求めると共に、確認のために大阪から東京所在のY社本店に赴くことを余儀なくされ、これにより精神的損害等を被ったとして不法行為に基づき損害賠償を請求した。 |