X株式会社はAから賃借した土地上に建物を建築し、所有権を取得した。
Xの資金繰りが悪化し、AはB農協から1000万円を借受け、Xにこの1000万円を貸し付けた。
この際、XとAは、XのAに対する1000万円の債務を担保する趣旨で、未登記であった本件建物をA名義で保存登記した。
また、Aは本件建物につき、共済金額を2000万円とする建物更生共済契約をBと締結した。
Xは本件建物につき、Y保険会社と、Xを被保険者とする保険金3000万円の火災保険契約を締結した。
火災により本件建物が滅失し、XがYに対し、保険金の支払を求めた。
原審判決は、XはAに対し、自己のAに対する債務の担保として本件建物を譲渡担保に供したものと認められるとした上で、Xが建物につき所有者としての火保険利益を有するとし、本件火災保険契約と建物更生共済契約は同一の損害に対して保険金(共済金)を支払う関係にあるから、保険約款における他保険がある場合の支払保険金按分規定にしたがって処理されるとし、Xの請求は一部認容された。
Yは上告した。 |