Y株式会社は、X、A、B、C、D、Eら6名が取締役であった。
Y社は定款上取締役選任にかかる累積投票を排除していないが、平成8年8月26日開催の定時株主総会の招集通知には、議題として「取締役全員任期満了につき改選の件」とあるのみで、被選任取締役の数について明確な記載はなかった。
総会では、従来取締役であったAが取締役選任決議に先立って監査役に選任され、次いで、B、C、D、Eの4名を取締役に選任する旨の決議がなされたが、Xは賛成少数のため取締役に選任されなかった。
なお、取締役選任決議後について株主から累積投票の請求はなされていない。
Xは、招集通知に被選任取締役の数を記載しなかったことは、招集手続の法令違反にあたるとして、株主総会決議の取り消しを請求している。
原審は、「取締役全員任期満了につき改選の件」という記載自体からは、選任される取締役の数が明示されているとはいえず、また、この数が明らかであったというべき客観的事情もないとして決議を取消した。
これに対して、Y社は上告した。 |