XはAと内縁関係にあったところ、AはB保険会社との間で、Aを被保険者、Xを保険金受取人とする、死亡時の一時払保険金が2000万円、年賦払保険金が毎年200万円で5年間の合計1000万円支払われる生命保険契約を締結した。
本件保険契約では、保険証券の受取人欄の下部欄外に「保険契約者は保険金受取人を指定し、または変更する権利を留保します」との記載があった。
Aは金融業者であるYに3000万円近くの債務を負っていた。
AはYに「Yの紹介によりBの外交員Cに加入した私の生命保険金は私が万一事故の場合には保険金を受取ってください。」と記載した念書を交付した。
Aが死亡し、BはXに一時払保険金2000万円を支払い、年賦払い保険金については、5年の年賦払いとする旨の年金支払証書を交付した。
Xは2000万円のうち800万円と500万円をそれぞれ定額郵便貯金、相互銀行の定期預金とし、それぞれの証書を受領した。
XはYの求めに応じて預貯金証書、年金支払証書を任意に交付し、Yは預貯金を全額引き出し、年賦払い保険金は一括支払請求してこれを受領した。
XはYに対し、不当利得として、これらの金員の返還を求めた。
原審判決では、Xの請求は認められた。
Yは上告した。 |