昭和39年4月30日、XはYから700万円を借り受けた。
利息は月7分で翌月から毎月々末限り支払う、弁済期は昭和40年4月30日との約定であった(以下、「本件消費貸借」)。
同日、Xは、1ヶ月分の利息として49万円を天引されて651万円の交付を受けた上、Yに対し、同年5月から昭和40年4月まで毎月末日に約定利息49万円を支払ったほか、弁済期日である同年4月30日に元本分として700万円を支払った。
昭和50年1月30日、Xは、本件消費貸借の約定利息は利息制限法の制限を越えるものであるから、超過支払分は元本に充当され、結局Yは574万余円を不当に利得したとして、その返還を求めて訴えを提起した。
これに対しYは、Xは借受当時、各所で飲食店等を経営しており、店舗の購入資金としてYから700万円を借り受けたのであるから、本件消費貸借はXの付属的商行為にあたり、仮にXのした弁済に過払いがあるとしても、その返還請求権は5年間の消滅時効(商法522条)に服すると主張した。
原審は、過払い分の返還請求権は、Xが、本件消費貸借に基づく債務が完済されて債務が存在しないにのその弁済として支払ったことによって生じたものであるから、本件消費貸借が商行為であるか否かとは関係がなく、Y主張のように商行為によって生じた債権ということはできないのであって、消滅時効の期間は、民事上の一般債権として10年(民法167条1項)と解すべきであるとして、Yの消滅時効の抗弁を認めなかった。
Yは上告した。 |