XはYに対し、(1)昭和19年7月7日、金1万円を弁済期度同年8月7日と定め、(2)同年7月9日、金1万円を弁済期同年8月9日と定め、(3)同年7月10日、金1万5000円を弁済期同年8月10日と定め、いずれも利息を定めずに貸与した。
YはXに対し、3口の貸金債権の支払確保のために、金額、振出日、満期が前記3口の貸金の金額、貸与日、弁済期にそれぞれ照応し、支払地、振出日を共に福岡市、支払場所をX宅とする約束手形3通を振り出した。
Xは、本件手形について手形金請求訴訟を提起していたが、臨時財産調査令による手形債権の所轄税務署への申告を怠っていたので、判決前に訴えを取り下げ、あらためて原因債権である貸金請求訴訟を提起していた(当時、手形債権については臨時財産調査令施行規則13条に基づく申告を行なわなければならず、これを怠った場合手形債権の支払を請求することはできなかった)。
第1審はXの請求を棄却したが、原審はXの訴えを認容した。
これに対してYが、Xは手形債権から行使すべきである等と主張して上告した。 |