XはY株式会社の株主である。
Y社はその株主総会で、前代表取締役である故Aに対し弔慰金及び退職金を支給することを承認するとともにY社を解散する株主総会決議を行った。
Xの主張は、@株主総会の招集を決定した取締役会の構成員である取締役の選任決議が不存在であるから商法231条違反があり、従って招集手続の法令違反を理由に総会決議が取消されるべきこと、A本件株主総会決議においては、B・C・Dが参加して賛成しているが、この3名は退職金の支給を受けるAの相続人であるから特別利害関係人に該当し、従って著しく不当な決議であるから本件株主総会決議を取消すべきこと、B本件株主総会で新株を取得したとする株主Bが決議に参加しているが、この新株発行が不存在であり、これを確認すべきこと、の3点である。
@Aが甲事件であり、Bが乙事件である
これに対するBらの反論は、@については、選任決議が存在している、Aについては、AがY社に対して個人的に貸付を行っていたこと、Aの設立以来30年の功績に応じて退職金を支払うのは正当であること、税務署により損金算入が認められたことを理由に、著しく不当とはいえない、Bについては、新株発行がなされていることに加え、Xの請求は新株発行の無効確認に等しく、新株発行無効の訴えに関する6ヶ月の出訴期間(前商法280条の15第1項)を徒過した不適当な訴えとして却下されるべき、というものである。
裁判所は事実認定として@については選任決議が存在していること、Bのうち新株発行の有無についてはその不存在を認定した上で、A及びBのうち出訴期間に関して、以下のように判示した。 |