Y株式会社は、昭和45年、第42期の株主総会を開催したが、当時Y社は、「水俣病を告発する会」による株主運動の対象となっていた。
本件株主総会の会場の定員は1110名であったが、同会の一株株主を含め、約1400人の株主が参集したため、同会の会員であるXを含め、約300人の株主は会場に入り提出された修正動議も無視してわずか4分前後で審議を終え、計算書類等の承認を求める議案が可決されたとして総会を終了した。
そこでXらは、株主が会場に入場できなかったことや動議を無視して決議したことが株主総会決議取消事由に該当するとして、本件株主総会の決議取消しを求めて提訴した。
第1審はXの請求を認容した。
これに対しY社は、取消事由の存在について争ったほか、控訴審以降、現在(上告時点では第54期)においては、第42期の決算承認決議を取消しても実益がないこと、また、修正動議の無視の瑕疵については、その動議以上の水俣病の補償金及び対策費が支出され、その目的が達成されていることから、訴えの利益を欠くに至ったとの主張をしている。
原審は控訴棄却、
Y社は上告した。 |