昭和58年8月31日、A1〜A3及びBは大韓民国法人であるY株式会社が運行するニューヨーク発の航空機に乗客として搭乗した。
この航空機はソウルに向かう途中、予定航路を大きく逸脱してソ連の領空を侵犯し、ソ連戦闘機により撃墜され日本海に墜落し、乗客全員は死亡した。
A1ら及びBの遺族であるX1〜X7がYに対し、ワルソー条約(もしくは改正ワルソー条約)17条、18条による損害賠償責任、又は、不法行為による損害賠償責任に基づき、損害賠償を請求した。
損害には、Aら及びBの精神的苦痛に対する慰藉料、X1ら自身の精神的苦痛に対する慰藉料などが含まれている。
なお、Yは当初ワルソー条約22条における責任限度額の抗弁を主張していたが、途中でこの抗弁の援用を撤回したところ、X1らは同条の適否は当事者の主張の有無に関わらず裁判所が判断しなければならないものと主張した(同条の適否につき問題となるYの故意等の有無につき、事故発生原因追及のため、判断を望んだようである)。 |