本件本案訴訟は、A株式会社株主であるXらが、同社取締役であったY1〜Y4の責任を追及するための提起した株主代表訴訟である。
事件は複雑であるが、XらがYらの責任の原因として主張しているのは次のような事実である。
(1)Bの主宰する仕手グループがA社のメインバンクであるC銀行の系列ノンバンクから借り入れた巨額の債務につき、A社に保証をさせた上、A社本社ビルに抵当権を設定し、最終的に債務引受を行なった、(2)C銀行系列の別のノンバンクに対するBのグループの債務についてA社の関連会社に債務引受させ、A社の完全子会社に担保提供を行なわせ、さらにBの債務について保証・担保提供等を行なわせた、(3)C銀行の関連会社の債務(もともとはBのノンバンクに対する借入債務であってものを肩代わりしたものとされる)について、A社に保証を行なわせた、(4)Bの債務についてA社が担保提供し、それを200億円で処分し弁済に当てた結果、A社が同額の損害を被った。
これに対しYらは、Xらの株主代表訴訟の提起は悪意によるものであるとして、担保提供の申立てを行なった。
第1審決定は、Y3、Y4に対する(1)の主張に基づく請求及びY1〜Y4に対する(2)の主張に基づく請求について、各被告ごと、また各請求ごとに1000万円の担保提供をXらに命じた。
双方が抗告した(ただし、Y1、Y2の抗告状には抗告理由の記載がなく、また両人は抗告理由書も提出していない)。 |