X保険会社はYと、Y所有の家屋を目的物とする火災保険契約を締結した。
保険期間は昭和29年12月25日から昭和30年12月25日までの1年間であり、保険金額は1500万円、保険料は19万5千円である。
Yは保険料を支払わず、Xは昭和30年7月11日に、同月25日までに保険料を支払うよう催告し、この期限までに支払がないときは本件保険契約を解除する旨の意思表示をなしたが、Yは保険料を支払わなかった。
XはYに対し解除の日までの保険料14万6259円の支払を請求した。
本件火災保険普通保険約款2条2項は「保険期間が始まりたる後といえども保険料領収前に生じたる損害は当会社之を填補する責めに任ぜず」と規定している。
解除が遡及効を有するかが争点の一つであったところ、原審判決は、商法645条1項、651条、657条は解除の将来効を定めるが、これらを保険料不払いによる解除に類推適用することはできない、保険料不払いにより保険契約を解除した場合には、本件約款2条2項により保険者は保険責任を負担しないまま保険契約を解除したものであるから、解除は遡及効を生じることなどとして、Xの請求を棄却した。
Xは上告した。 |