Y社は、発行予定株式総数1600万株、発行済株式総数550万株の株式会社であったが、臨時株主総会において、次の4つの議案を決議した。
@再評価積立金の一部を資本金に組み入れる。
A発行予定株式総数を1600万株から1650万株に変更する。
B発行価額を1株50円として1100万株の新株発行を行い、発行価額中20円は再評価積立金をもって充当するものとする。
発行価額の残額30円については払込金を徴収し、株式1株につき2株の割合で新株を割り当てる。
C発行予定株式総数を1650万株から6000万株に改めるが、この決議は、再評価積立金の一部資本組入れならびにこれに伴う新株発行と同時に効力を生ずるものとする。
株主Xは、A〜Cの総会決議の無効確認を求めて本件訴えを提起した。
すなわち、A決議は、授権株式の全部が発行済みとならなければ発行予定株式総数を増加することができないから無効である。
また、A決議が無効である以上、その有効性を前提とするB決議も無効である。
そして、決議時の発行済株式総数が550万株であるY社が発行予定株式総数を1650万株から6000万株に増加するC決議は前商法347条に反し無効であり、条件付決議をしたからといって有効となるものではない。
第1審及び原審ともXの請求棄却。
Xは上告した。 |