Y社は、東京証券取引所第2部に上場する株式会社であり、発行済株式総数は1630万株である。
X1〜X4の4名は、平成16年3月31日現在、それぞれY社株式121万2000株、152万7000株、230万6000株、そして94万3000株を保有する株主である。
X1〜X3は、同年4月27日、Y社に対し、同年6月開催予定の定時総会において、取締役5名及び監査役1名の選任を議案とすることを求める株主提案書を送付した。
これに対してY社は、同年5月18日の取締役会において、Bに対して普通株式770万株を割り当てる新株発行を決議した。
その発行価額は、専門的知識を有する第三者の鑑定に基づき、類似業種算定法により算出された252万25銭、売上高・営業利益などの予想値から絶対評価基準として算出された338円、および同年3月31日までの6ヶ月間のY社平均株価589円の三種類の価格を単純に平均し、393円とした。
なお、Y社は、定時総会において権利行使をすることができる株主について、定款上の基準日である平成16年3月31日現在の株主ではなく、同年6月4日の最終株主名簿及び実質株主名簿に記載された株主とする旨の公告を行った。
X1〜X4は、以上のY社による第三者割当増資の方式による新株発行に対して、差止仮処分の申立を行った。
その理由は、大別して以下の二点である。
第一に、発行価額が特に有利な発行価額に当るにもかかわらず、株主総会特別決議を経ていない違法がある。
第二に、Y社の現経営陣の地位の維持、保全を目的としたものであり、著しく不公正な方法による新株発行である。 |