X1とAは、Y株式会社の株式を2000株ずつ所有していた。
Aは昭和44年1月5日に死亡し、X1〜X10らがA所有の株式を共同相続した。
Y社は、昭和48年10月1日の臨時株主総会において、Y社の株式を譲渡するには取締役会の承認を要する旨の定款変更の決議をした。
Y社は、前商法350条1項所定の公告手続をし、X1とAに対し同年12月1日までに株券を提出すべき旨、通知した。
ところが、X1〜X10らは株券の所在が不明であるとして、Y社に対し前商法350条3項に基づく異議催告の公告を求めて本件訴えを提起した。
第1審継続中に、Aの共同相続人であるX1〜X10は、前商法203条2項に基づきX1を共有株式の権利行使者とし、Y社にその旨を通知した。
Y社は、@X1らがAの株式を相続したとしても、株主名簿の名簿書換を経ていない以上その取得をY社に対抗できず異議催告公告を請求し得ない、A異議催告手続を了しても、Xらは除権判決を得なければY社に対して、新株券の交付を請求できないこと等を主張した。
第1審は、X1の請求を容認しX2〜X10の訴えについては、X1のみが権利行使者であるとして訴えを却下した。
原審は、第1審判決を引用して、Y社の控訴を棄却した。
Y社は上告し、@異議催告公告を請求することができるのは株主名簿上の株主であり、相続後、相当期間が経過しており除権判決を得るなどして名義書換をすることもできたのだからそのように解しても衡平を失しない、A異議催告公告請求において旧株券を提出できないことにつき何ら合理的理由を開示せず、これを証明する必要もないとすることは法の安定性を害すると主張した。 |