Y株式会社が振出した約束手形には、金額欄に漢数字で「壱百円」と記載され、その上段に算用数字で「\1,000,000−」と記載され、100円の収入印紙が貼付されている。
X株式会社は裏書によってこの手形を取得し、100万円の手形としてYに手形金の支払を請求した。
第1審が手形金額を100円としたのに対し、原審判決は、@漢数字も数字だが手形の外観自体から数字による重複記載のいずれか一方が他方の誤記であることが明らかな場合には手形法6条2項の適用はなく、A手形振出日である昭和55年4月28日の貨幣価値からして金額100円の手形が振出されることは経験則上ほとんどあり得ないし、100円の収入印紙を貼付した金額100円の手形が振出されることは常識上ありえないから、漢数字による金額記載には「壱百」と「円」の字の間に「万」の字が脱漏しているとして、100万円の請求を認容した。
Yは上告した。 |