Y株式会社は、昭和42年9月8日の臨時株主総会において新株の発行価額を1株115円として、A証券会社に買取り引受させる旨の決議を行い、同日、A社との間で買取り引受契約を締結した。
これに対して、Y社株主であるXは、本件新株の発行は特に有利な発行価額をもって第三者であるA社に対してなされたものであると主張して、新株発行無効の訴えを提起した。
すなわち新株の発行価額は、取締役会決議日前日の東京証券取引所におけるY社株式の取引価額によるべきであり、発行価額は少なくとも1株133円をもって公正な価額というべきである、というのである。
第1審は、原告の請求を棄却した。
原審も、本件新株の発行価額の決定にかかる事情を詳細に認定し、115円という発行価額が特に有利な発行価額であるとはいえないとして、Xの控訴を棄却した。
Xは上告した。 |