A会社はB会社との間で、荷受人をC株式会社として羊毛屑85梱包をサンフランシスコから名古屋まで運送する海上物品運送契約を締結し、自己所有の甲汽船により運送していたところ、神戸港において運送品を乙汽船に積み替えるために、Y1株式会社に両船舶間の運送を依頼した。
Y1はY2にこの運送に当らせた。
この作業中に運送品の一部が海中に落下したが、すべて回収され、Aの依頼を受けたY3株式会社により乙汽船に積み入れられ、Cに引き渡された。
この際のCの検査により、53梱包に海水による損傷があることが判明した。
事故後、Aの代理店であるD株式会社はY1に何らの留保なしに運送費その他の費用を支払った。
Cは、米国においてAに対して上記事故による運送品の損傷についての損害賠償請求訴訟を提起し、賠償金額を約5157ドル(約185万円)とする決定を受け、AはCにこの金額を支払った。
Aと合併し、Aの権利義務を承継したX会社が、上記金額を損害として、Y1に対しては債務不履行による損害賠償、Y2・Y3に対しては不法行為による損害賠償を請求した。
Y1・Y2の主張の1つに、商法588条による損害賠償責任の消滅、商法589条による損害賠償責任の時効消滅があった。
第1審ではXの請求は棄却され、XはY1・Y2に対して控訴した。
原審判決は、Y1・Y2の損害賠償責任を認め、Aは荷送人でも荷受人でもなく、Y1はAが運送のため使用した者であり、商法588条、589条は適用されないとして、Xの請求の一部を認めた。
Y1らは上告した。 |