X社は昭和26年1月設立の、製材加工業等を営む株式会社であるが、昭和28年12月28日以来休業状態にあった。
昭和30年9月、X社はY協同組合に対し、X社の製材工場の土地、建物を、X社が必要とするときはY社は何時でもこれを返還するという約定で貸与し、Y組合はこれらを木材置場及び事務所として使用した。
昭和31年11月9日、Y組合の専務理事は、X社の代表取締役Aから製材工場の土地、建物、機械、及び器具類一式(以下「本件物件」)をY組合に売却したい旨の売買の申込を受けたので、即日代金の支払を済ませた。
昭和31年12月にX社がY組合に対し貸与物件の返還を請求したが、Y組合がこれに応じなかったので、本訴を提起し、物件の明け渡しと明け渡しまでの損害賠償を請求した。
Y組合が上記のような売買の成立を主張したのに対し、X社は、@本件物件の売買は、前商法245条1項1号にいう営業の重要な一部の譲渡に当り、X社の株主総会の特別決議を要するにもかかわらず、これを経ていないから売買契約は無効である、AX社では重要な事項について取締役会の決議を要することになっているのに、本件物件の売買についてX社の取締役会決議による承認を受けていないから無効であるなどと主張した。
第1審、控訴審ともにX社の請求を棄却した。
X社は上告した。
本判決は、上告理由のうち、上記@以外の理由に対するものである。 |