A有限会社はY保険会社と自家用自動車保険契約を締結していた。
Aの従業員であるBは、A保有の自動車でCを轢き殺した。
これによりAは、Cの妻子であるX1、X2、X3に対し、自動車損害賠償保障法3条による損害賠償責任を負うことが、X1らとAとの間の別訴により確定していた。
本件保険約款は、保険契約者又は被保険者が事故の発生を知ったときには、事故発生の日時、場所、事故の状況等を遅滞なく書面で保険者に対して通知すべきであると規定し、また、対人事故の特則として、保険者がこの事故通知を受けずに事故発生の日から60日を経過したときは、その事故にかかわる損害を填補しないが、保険契約者等が過失なしに事故の発生を知らなかったとき、または、やむを得ない事由によりこの期間内に通知できなかったときはこの限りではない旨が定められていた。
Aは事故発生の約1年8ヶ月後にYに通知した。
X1らは、AのYに対する保険金請求権を債権者代位権に基づいて行使する訴訟を提起した。
Yは上記通知義務の違反による免責などを主張した。
原審判決は、通知義務の趣旨からして、通知の義務違反の場合でも、Yの適正な填補額の決定に支障がない限りYは免責されることはなく、本件では支障がないとしてYの免責を認めなかった。
Yは上告した。 |