上場会社たるY社は、昭和62年4月30日、Y社が約85%の株式を所有する非上場会社である子会社A社との間で、Y社を存続会社、A社を消滅会社とする吸収合併
行い、合併比率を1対1とする本件合併契約を締結した。
当該契約では、A社は、同年3月末日における貸借対照表、財産目録等を基礎として一切の資産・負債等をY社に承継させ、同年4月1日から合併期日までの資産・負債の変動については別に計算書を作成してY社にその内容を明示することとされていた。
A社は、同年3月末日以降、2度にわたり、其の資本額を各2倍にする増資を行い、資産の評価替を行なった。
Y社の株主総会は、同年6月26日、本件合併契約を承認した。
Y社の株主Xは、@本件合併比率は、いずれの資産によっても著しく不当かつ不公正であるから、合併は無効である、A本件承認決議は特別利害関係人が議決権を行使したため著しく不当な決議がなされたものであり、決議取消事由を有すること等を主張し、本件合併の無効確認を求めた。
原審(東京地判平成元・8・24判時1331号136頁)はXの請求を棄却した。
Xは控訴した。
なお、本判決は、原審判決を多数引用しており、以下の判決理由における引用部分については原審判決の該当箇所を直接掲げる形で表記している。 |