ドイツの会社Aが中国の会社Bから中国製白兎毛皮をC&F条件で買い受け、Bは海上運送人Y株式会社に上海からブレーメンまでの同毛皮の海上運送を委託した。
毛皮がYの運送によりブレーメンに到達し、荷受人に引き渡されたところ、毛皮が変色しているという損傷の発生が判明した。
Aとの間で前記海上運送に関して貨物保険契約を締結していたX保険会社にAに対して保険金を支払ったので、保険代位により前記損傷はYの過失によるものであるとして、Yに対して損害賠償を請求したのが本訴である。
Xは、Yの運送に使用された汽船の同一船内にフルフロール液の入ったドラム缶が積み込まれていたため、このフルフロール液がドラム缶から漏出し、この液が気化して空気と混合し、同一貨物室に積み込まれていた前記毛皮に作用して変色が生じたものであると主張した。
Yが本件運送について発行した船荷証券では、
「第1条 準拠法 1924年8月25日ブリュッセルにおいて署名された船荷証券についてのある規則の統一に関する国際条約に含まれているヘーグ規則を合体した1957年6月13日付けの日本国国際海上物品運送法は、本船荷証券によって証される契約に適用される。
ただし、本船荷証券が発行された国において、前記規則に基づいて立法された国内法が存し、本船荷証券によって証される契約はその法律に従うべきことが要求されている場合は、その国内法により適用される同規則がその法律の要求する範囲内で本船荷証券により証される契約に適用される。
本証券のいかなる部分も国際海上物品運送法又は制定法に基づく権利若しくは免責の運送人による放棄または責任もしくは義務の加重とはみなされれず、また、運送人若しくは本船(船舶)に対しいずれかの国の法律で与えられる法的保護または責任の免除もしくは制限の利益を運送人が主張することを妨げるものではない。
本船荷証券のいずれかの部分が国際海上物品運送法またはその他強行法として適用される規定に違反する場合は、違反の限度においてその部分のみが無効となり、他の部分に及ばないとする。
第2条 裁判管轄。
本運送契約に基づくすべての訴は、本証券において別の規定がされていない限り、日本法に従い日本の裁判所に提起さるべきものとする。」
という規定がおかれていた。 |