Xは、昭和34年10月21日A証券会社に対しB社株式1000株の買入委託をし、その代金として31万円を預託した。
Aは同年12月15日、C証券会社から上記株式1000株を単価金187円で買い入れた。
同株式は記名株式であったところ、当時Bが増資の発表をしており同月20日までに名義書換手続のため株券を同会社に送付しなければ新株引受の権利を失う事情にあり、AからXに本件株券を引き渡しX名義で手続を取る余裕がなかったところから、Aの社長は電話でXの了解を得た上A名義に本件株券の裏書をし、かつ名義書換手続をとり、同株券を保管していた。
その後、Aが本件株券をXに裏書譲渡することを遅延するうちAは破産宣告を受け、本件株券をXに裏書譲渡することを遅延するうちAは破産宣告を受け、本件株券は破産財団に組み入れられた。
Xは、本訴において、Aの破産管財人であるYに対して、本件株券につき裏書譲渡をした上での引渡しを請求するとともに、Yがその履行ができないときにおける株式の時価相当額の賠償を請求した。
原審判決は、問屋は委託の実行として成立した売買契約より生ずる権利義務の主体であるから、委託者が第三者に対してその権利を主張するためには問屋からその権利の移転を受けなければならないところ、問屋が委託契約に基づき記名株式を買い入れた後破産した場合において、委託者はその破産宣告前に裏書譲渡の方式による株式の譲渡を受けていない限り破産財団につき取戻権を行使しえず、既に交付した資金について一般債権者として権利を行使しうるに過ぎないとして、請求を棄却した。
Xは上告した。 |