A社は、肉食製品の加工製造販売等を業とする株式会社であり、Y1の子会社である。
Y1社が製造販売した乳製品を喫食した消費者に食中毒を発症する事故が続発したことを原因として、Y1社グループのブランドの信用が低下し、A社の販売する食製品の売上が減少し、その経営状態が悪化した。
その後、A社は、牛海綿状脳症の国内発生に伴う牛肉販売不振対策として立てられた救済買上制度を悪用して対象外の牛肉も対象牛肉であると偽って売却する牛肉偽装事件を起こし、これが発覚したため、販売する食製品の売上が極端に減少し、経営危機に陥った。
結局、A社は解散しその株式は無価値となった。
そこでA社の大株主であったXが、A社の代表取締役ないし取締役であったY5、Y6、Y7、B、C及びDは、法令を遵守して経営をするべき義務を怠った不法行為により、A社の牛肉偽装事件を発生させ、解散に至らしめたとして、これらの者に対して損害賠償を求める訴訟を提起した(なおXはY1社及びその取締役Y2ないしY5に対しても損害賠償を求めているが、ここでは省略する)。
第1審は請求を棄却した。
Xが、Y5ないしY7についてのみ判決を不服として控訴した。 |