X株式会社は、Y保険会社との間で、Aを被保険者とし、Xを受取人とする災害割増特約の付加された生命保険契約を締結した。
災害割増特約の法的性質は、傷害保険である。
契約で用いられた約款においては、災害割増特約の対象となる不慮の事故(保険事故)とは偶発的な外来の事故とされていると同時に、被保険者による故意の事故招致を保険者に免責事由と定めていた。
AはXの代表取締役であるが、工事に立ち会った後に、5階建て建物の屋上から転落死したとして、XがYに保険金を請求した。
これに対しYが、Aの死亡は自殺であること等を主張して、災害死亡保険金の支払を拒んだ。
第1審では約款解釈により偶発性の立証責任を保険金請求者に課し、事実認定として、偶発的な事故であるか自殺であるか判断できないとして、請求を棄却。
原審では、主契約が自殺を免責事由としているのに対して割増特約では保険事故の定義に偶発性を組み込んでいることについての約款の文理解釈、人的密接性を理由とした立証の難易、並びにモラル・リスク防止の必要性から、Aの死が偶然の事故であることについての立証責任はXにあると判断したほかは原審の認定を引用し、控訴を棄却した。
Xは上告した。 |