AはY保険会社との間で、Aを保険契約者兼被保険者、Aの妻であるXを保険金受取人とする生命保険契約を平成2年5月1日及び平成3年11月21日にそれぞれ締結した。
契約に用いられた保険約款には、保険金請求権の時効消滅について、保険金請求権は、支払事由が生じた日の翌日からその日を含めて3年間請求がない場合には消滅する旨の定めがあり、支払事由は「被保険者が死亡したとき」とされていた。
Aは平成4年5月17日失踪し、同月19日に家族から地元の警察署に捜査願が提出されたが、その消息については何の手掛かりもなく、その生死も不明のまま、時が経過した。
平成8年1月7日、Aが遺体で発見された。
遺体の状況等から、死亡時期については平成4年5月頃と推定され、死亡原因は自殺ではないと認定された。
Xは、平成8年11月7日、保険金の支払を求めてYを提訴した。
これに対しYは、Aの死亡の日から3年が経過するまでの間に本件契約に基づく保険金の請求がなされなかったことから、消滅時効を主張した。
原審は、約款解釈として、保険金請求権という権利の性質上、その権利行使が現実に期待できる時点が消滅時効の起算点であるとして請求認容。
Yは上告した。 |