Xは、昭和38年9月当時、自己又は家族の名義でY株式会社の株式20万6500株を有しており、Y社発行済株式総数の100分の3を超えていた。
Y社は、昭和38年3月決算期まで1割2分の利益配当を行ってきたが、同年9月決算期には株主に配当すべき利益を計上できない経理状況にあった。
そこで、同年11月30日開催予定の株主総会においては、株主に対する配当による利益金処分案を含まない計算書類を付議することとなった。
Y社は、当該総会において無配決算議案の承認を求めるにあたり、大株主から事前の了解をとりつけるべく、監査役をXのもとに派遣した。
Xは、他の大株主とは異なり、議案の承認を大いに不満とし、無配による損失を補ってほしい旨主張し、金員の支払等を要求した。
そこで総会前の同月20日、交渉が行なわれ、同月1日にさかのぼって月額金8万円、中元及び歳末に各金5万円をY社がXに支払う旨の合意に達し、Xは総会に出席しなかった。
そして、昭和39年2月に金員贈与の趣旨を表す書面が作成され、本件契約が成立した。
Y社は、その後社長が交代するまでしばらく金員を支払った。
Xは、昭和40年7月分以降の契約金支払を求めて訴えを提起した。
第1審、原審とも請求を棄却したため、Xが上告した。 |