AがBを受取人として振出した約束手形には、第一裏書人欄にB、同被裏書人欄にBと記入された上で抹消、第二裏書人欄にY、同被裏書人欄にYと記入された上で抹消、第三裏書人にCと記入された上で抹消、同被裏書人欄は白地、第四裏書人欄にはD、同被裏書人欄は白地、受取証欄にEと記入された上で抹消、第五裏書人にX、同被裏書人欄にXと記載されている。
Xが本件手形を支払期日に呈示したところ支払を拒絶されたので、Xが提訴した。
原審判決は、手形法16条1項3段の「抹消したる裏書」とは本来裏書署名と被裏書人欄の記載との全体を指すが、被裏書人部分のみの抹消を全部抹消と同視することは、その記載から看取しうる抹消行為者の意思に反するから、被裏書人部分のみを記載がなかったものとみなすべきであり、Xは裏書の連続ある手形の最終被裏書人として適法な所持人と推定される、としてXの請求を認容した。
Yは上告した。 |