A株式会社は大阪証券取引所第2部上場の中堅商社であったが、業績が悪化して慢性の欠損状態に陥ったため、虚偽の計算書類を作成し、経営状態の悪化を粉飾決算によって隠蔽しながら経営の建て直しを図っていた。
手形割引を業とするXは同業者のBからA社振出にかかる約束手形の割引依頼を受けた。
XはA社に対して振出の有無を確認したほか、企業情報誌「会社四季報」(上場会社について会社別のその概要、株価動向、役員名、業績、配当率等の情報を提供する季刊誌であり、その記事のうち業績欄の記載は各社が公表する計算書類に基づき作成される。)によってA社の営業成績等を調査した上で割引依頼に応じることとし、割引金を支払って本件手形を取得した。
しかし、A社はついに資金繰りが行き詰って倒産し、Xは本件手形を支払場所に呈示したが資金不足を理由に支払を拒絶された。
そこで、Xが、A社の代表取締役Y1、取締役Y2〜Y9に対し、昭和56年改正前商法266条の3第1項後段(前商法266条の3第2項)に基づく損害賠償を求めて提訴。
原審敗訴を受け、Xが控訴。 |