航行区域を沿海区域とする汽船であるM丸が、航行区域を平水区域とするいわゆる内水船であるN丸を曳き、その後に無機力運貨船(バージ)を曳いて、神戸港の東神戸航路の沖合いから同航路を進入した際、M丸及びN丸の船長の過失により、無機力運貨船が、海上自衛隊阪神基地隊東岸壁に係留されていたX(国)所有の掃海艇に衝突し、これを損傷させた。
なお、原審判決は、N丸が内水船であっても、M丸、N丸及び無機力運貨船全体に商法第4編(現行第3編)の関係規定の適用があるとした。
M丸及びN丸の船舶所有者とY株式会社との間では、Yが船舶所有者から両船を定期傭船することとし、「定期傭船契約書」と題する契約書が取交わされていた(その内容については判決理由を参照)。
Xは本訴において、定期傭船者であるYに対して商法704条の準用があるとして、上記衝突事故による損害について商法690条に基づく損害賠償を請求した。
原審判決はXの請求を認容した。
Yは上告した。 |