Aは、昭和34年から昭和35年頃にかけてB信用金庫より金融を受け、B宛ての約束手形を振出した際、当該手形に親族であるYの保証を得ていた。
この手形の書換に当ってYは、その都度実印をAに託し、保証契約締結ないし手形の振出しにつき代理権を与えていた。
Xも、Aに対して手形貸付の方法で金融を行なってきたが、XはAがBより金融を受ける際にYの保証を得ていたことを知っており、自らの貸付に際してもYからの保証を得ていた。
Xは、振出人Aら及びY(共同振出し)、受取人X、額面金70万円の約束手形を保有していたところ、昭和37年12月までの分割払いで返済すべき旨、そして分割払いを1回でも怠った場合は期限の利益を失う旨の準消費貸借契約を締結した。
しかし、支払期日に至ってもYが割賦金の弁済をしないとして、XがYに対して貸金返還請求を行なった。
これに対してYは、本件手形中、共同振出人とされているY名義の部分は、AがYの実印を勝手に使用して作成したものであるとして争った。
原審が、表見代理に基づくYの責任を肯定してXの請求を認容したため、Yが上告した。 |