Y株式会社の定款には株式譲渡制限の定めがあり、また従業員持株制度を採用していた。
XらはいずれもY社の従業員であり、Y社株式を額面金額(1株50円)で取得し、その際にY社との間で退職の際には従業員持株制度に基づいて取得した株式は額面金額で取締役会の指定する者に譲渡する旨の合意をした。
その後、Y社の営業担当従業員23名のうちXらを含む12人がいっせいに退職し、Y社は混乱等からXらの退職に伴う上記株式譲受人を取締役会では直ちに指定せず、Xらの退職後約2年後に譲受人としてA(Y社代表取締役の子)を指定し、Aは買受の意思を明らかにしてその代金額を供託した。
Xらは本件合意は株式譲渡自由の原則及び公序良俗違反であるとして無効を主張し、Y社に対して株券発行を求めた。
原審は株式譲渡自由の原則は会社と株主との間で個々に締結される契約の効力について直接規定するものではないこと、また公序良俗違反か否かについては従業員は相当程度の配当を受けることができY社の従業員持株制度は従業員の財産形成にそれなりに寄与するものであり、売渡価格が額面金額で固定されているとはいえ本件合意が直ちに投下資本の回収を著しく制限する不合理なものとまでは言えないとしてXらの訴え棄却。
Xは上告した。 |