Y株式会社は電力会社であるが、従前から、原子力発電所に反対する者に本社ビルを取り囲まれたり、ビルの一部を占拠されたことがあり、また、本件株主総会に先立って、原子力発電所に反対する株主グループから1000を超える大量の質問書の送付を受けていたことなどから、本件株主総会の議事進行が妨害される事態が発生することをおそれ、Y社株主である従業員を受付開始時刻前に会場に入場させ、株主席の前方部分に着席させた。
Y社の株主Xは、本件株主総会に出席し希望する最前列の付近の座席を確保するために、その本社ビルの近くに宿泊した上で他の原発反対派株主とともに早朝から玄関前に並び、閉門と同時に受付を済ませ会場に入場したところ、従業員株主が既に前方部分に着席していたため、希望する座席に座ることができずその後方に着席した。
総会の開始後Xは、議長から指名を受けた上で動議を一度提出している。
本件株主総会終了後にXは、従業員株主らとの間で上記のような差別的取り扱いを受けたことにより希望する座席を確保することができず、これによって精神的苦痛および宿泊料相当の財産的損害を被ったとして、Y社にt対し、不法行為に基づく損害賠償を請求して本件訴訟を提起した。
第1審、原審ともXの請求を棄却。
Xは上告した。 |