Y銀行はプラスチック原材料の輸出を業とするX有限会社から、信用状付外国向為替手形を買取った。
Yは、信条状上買取銀行として指定されていたA銀行に対して、本件信用状及び船積書類等の付属書類を交付した上、本件為替手形の再買取を申し入れたが、Aは拒絶した。
なお本件信用状の発行銀行はB銀行であるところ、Aは信用状等をBに送付しておらず、Bによる支払拒絶の事実はない。
YがXに対して本件手形の買戻しを請求したのに対して、XはYを相手方とし本件手形の買戻債務の不存在の確認を求める民事調停を申し立てたが、これは不調により終了した。
XがYに対して、民事調停中に支払った7000万円を不当利得として返還請求するとともに、その余の残額について買戻債務の不存在の確認を求めて訴えを提起した。
XはYに対して外国為替取引約定書を差し入れていたが、その第15条2項1号及び22条は次のように規定していた。
「第15条(買戻債務) A外国向為替手形の買取を受けた後、次の各号の事由が一つでも生じた場合には、当該各号に記載する外国向為替手形について、貴行(本件Yを指す。)の請求によって手形面記載の金額の買戻債務を負担し、直ちに弁済します。
なお、信用状条件により貴行が引受人または支払人となっている外国向為替手形についても、同様とします。
1 外国向為替手形の取立、再買取が拒絶された場合には、その外国向為替手形。(以下略)」
「第22条(第三者名義の外国向為替手形の買取) 私(本件Xを指す。)が、第三者名義の外国向為替手形の買取を貴行に私名義で依頼した場合にも、すべて私の外国向為替手形と同様にこの約定が適用されるものとします。
この場合には、外国向為替手形及び付属書類における名義人の署名または印影は私が確認し、偽造、変造、盗用等の事故があってもこれによって生じた損害は私の負担とします。」 |