電子機器の製造販売等を目的とするY株式会社の創業者であるAは自ら代表取締役に就任するととともに、Y社の全株式を所有していた。
Aは息子Bを取締役に就任させ、専ら電子機器関係の技術者として養成しようとした。
またAの甥であるXはY社の業務及びBの指導にあたっていた。
AはY社の経営全般につきBに任せる状況ではなかったため、XにY社の将来の経営を委ねる旨の考えを表明していた。
その後Aの死亡によりY社の株式はすべてBが相続し、BがYの代表取締役に就任したが、XはBに対し、今後Y社を一緒にやっていくのであればY社の経営権と株式を譲渡すべきことを主張した。
BはXの申出を入れて発行済株式総数2万株のうち1万5000株をXらに無償で譲渡することに同意した。
しかしこの株式譲渡に関してY社定款所定の取締役会の承認はなされていない。
その株主総会においてB及びXら全株主出席のもと、B及びXらを取締役ないし監査役に選任した。
しかし一方、Bは自分がY社の全株式を有する株主であるとして別に株主総会を開催し、Xらを構成員から排除した取締役ないし監査役を選任した。
Xらによりこの株主総会決議の不存在確認を求める訴えを提起。
原審は株主の譲受人たるXらが株主総会に出席して議決権行使が異議なく認められたことによって、株式譲渡に関して会社の議決権行使が異議なく認められたことによって、株式譲渡に関して会社の最高決議機関である株主総会の承認があったと評価でき、これにより取締役会の承認があった同視されるからXらの主張は正当とした。
Y社は上告した。 |