電気製品修理業を営むA株式会社では取締役会も開催されず、業務は代表取締役Bが独断専行し、会計帳簿も決算書類もほとんど作成されていなかった。
Bは他の取締役であるY1及びY2に相談することなく自動車修理部門まで事業を拡張することを計画し、その資金を得るためにA社を代表してCに対し何通もの融通手形を振り出したが、Cに騙され手形金支払義務のみが残る結果となり、A社は倒産した。
Bが振り出したこれらの手形の一部の権利者であるX1〜X3が、手形金の支払を受けられず損害を被ったとしてY1及びY2に対して損害賠償を求めて控訴。
原審は「もしY1らにおいて、取締役会の開催を要求し積極的に会社業務の遂行に意を用いたならば、・・・Bの手形乱発行為を阻止することができたものと思われるからY1らも商法266条の3第1項・・・の責任を免れることはできない」としてXの請求を認めた。
Y1及びY2が、本件手形の振り出しは取締役が予見し、その発生を阻止しうる防止措置がとれるようなものではなく、Y1及びY2の任務懈怠との間の相当因果関係を欠くと主張して上告。 |