Y株式会社は昭和2年設立の同族会社であり、「株主は代理人をもって議決権を行使することを得、但し代理人は当会社の株主に限るものとす。」と定款で定めている。
昭和24年にY社は解散し、清算人にAが就任したが、昭和32年、株主XはAに対し、Aの解任及びその後任清算人等の事項につき、Y社の株主総会の招集を請求し、Y社本店で臨時株主総会が招集された。
ところが、同総会は紛糾の末、外形上、Xを議長とする甲総会と、Bを議長とする乙総会の2つに分裂した。
甲総会では、Aを清算人から解任し、その後任にCを選任する旨が決議された。
他方乙総会では、Aの辞任を承認して解任は付議されず、その後任にBを選任する旨が決議されたが、乙総会に出席したのはAの代理人D及びBらであり、これらの者全員が株主ではなかった。
Xは、乙総会で議決権を行使したBらは株主ではなく決議に関与した株主はAのみであり、そのAも、株主ではないDに議決権を代理行使させており、これが上記定款に違反するとして、乙総会決議に法令・定款違反の瑕疵があると主張し、決議の不存在・、無効の確認及び決議取消を求めて提訴。
原審は、乙総会決議はY社の株主ではない者及びY社の定款の規定上代理人として議決権を行使する資格のない者によってなされたものであり、このような決議は、その方法が法令又は定款に違反すると判断し、決議取消につき請求認容。
Y社は、議決権行使の代理人を株主に限る旨の定款規定が前商法239条2項(判決時3項)に違反すると主張して上告した。 |