X株式会社はその有する3つの工場のうちの1つに属する一切の営業をY社の設立前発起人代表Aに譲渡した。
この譲渡についてX社は株主総会の特別決議を経ていなかったが、それは法の不知によるもので、株主総会は容易にできる状況にあった。
Y社はその後代表取締役をAとする株式会社として設立され、上記営業を承継したが、その原始定款には財産引受の記載はなかった。
しかし、これも法の不知によるもので、反対者が存在した等の事情はなかった。
Y社はその後営業を継続し、この営業譲渡についてX社に苦情を述べたこともなかった。
この営業譲渡の代金はその一部が支払われ、XY間で残代金額の確認・支払の猶予などの合意がなされたが、営業はその後思わしくなく、Y社は営業活動を停止するに至った。
X社はY社に残代金の支払を求めて本訴を提起した。
Y社は第1審で前商法168条1項6号違反による無効を主張し、第2審でX社が営業譲渡にあたり株主総会の特別決議を経ていないので無効であると主張した。
なお、これまで、XYともその株主・債権者等の利害関係人から営業譲渡契約の無効が問題とされたことはない。
第1審・第2審ともX社勝訴した。
Y社は上告した。 |