A株式会社は、関連会社であるB株式会社を含めた5社とともに全国でホテルグループを展開している。
A社はB社の36、6%の株式を保有するとともに、A社の代表取締役Y1・Y2がB社の代表取締役を兼任していた。
A社からB社への融資は、A社が株式の50%を保有するC株式会社を経由して行われており(ただしC社は融資についての実質的な判断を行わず、A社が判断を行う)、A社の保証予約・保証が付されていた。
A社の取締役会規程では、1件3億円以上の融資については取締役会に付議するが、3億円未満の融資については稟議書で決済することとなっていた。
同グループが業績不振に陥って巨額の赤字を計上し続けたため、取引金融機関が再建策を講じなければ金融支援の継続は困難であるとの姿勢を示しだした。
そこで、同グループは経営再建のための3ヵ年計画を策定し、取締役会でこれを承認した。
この中で、債務超過に陥っていたB社については、C社を経由していた融資のうち40億円の債権放棄するとともに、C社を経由した融資を引き続き行うこととなった。
この債権放棄を含む契約は、代表取締役Y1が、A社・B社双方を代表してこれを締結した。
A社の株主であるX1・X2が、A社の取締役が取締役を兼務しているB社への融資はC社を介在させただけで自己取引として評価できるし、債権放棄は自己取引に該当するとして、Y1〜Y18らA社の取締役に対し、A社に対して損害を賠償するよう求めて代表訴訟を提起した。 |