Aは、医師から糖尿病と診断され、B病院に入院した。
B病院での精密検査の結果、糖尿病に加え、Aの肺に悪性の腫瘍があり左肩や頭に転移していること、手術等は不可能な状態であることが判明し、平均的な余命は半年ほどであると診断された。
このことはAの妻であるXには説明されたが、A本人には、病状は重くはなく治療の見込みもある旨が告げられました。
AとXがAに病状についての説明を受けてからまもなく、Aは知人から生命保険への加入を勧められ、Y保険会社との間で保険金額2億円という極めて高額な生命保険に加入することを承諾した。
Yの診査医であるC医師は、告知書を用いてAの健康状態を確認したが、Aは、告知書の質問事項である病気や外傷による10日間以上の治療・休養の有無、具合の悪いところの有無、病気や外傷による診察・検査・治療の有無につき、全て「無」を丸で囲んで回答し、「自分は今までに大病をしたことがない」などと言って当時の健康状態について異常がない旨答え、闘病病の検査を受けていることについては告知したものの、B病院に入院中であり治療の必要があることや、診査を受けるためにB病院から外泊許可を得て上京したこと等については説明をしなかった。
この告知を受けた診査の結果、C医師は異常所見を認めず、Aの健康状態に異常がないという検診書作成し、Aを被保険者とするA・Y間の生命保険契約は成立した。
契約の成立後、Aが死亡したため、保険金受取人であるXは支払を求めたが、Yは、Aの告知義務違反を理由に契約を解除し、保険金の支払を拒んだ。
これに対し、保険金の支払を求めてXが提訴。
原審では請求棄却、Xは控訴した。 |