Xは、昭和54年3月1日、Y株式会社の株式1万株を取得した。
Y社は、同年6月28日の株主総会決議により、定款において株式の譲渡制限の定めを置くものとし、前商法350条1項に基づき、同年8月31日までに株券を提出すべきこと、提出のない株券は無効となる旨を公告するとともに株主に対し通知を行った。
Xが上記提出期間経過後に名義書換を請求したところ、Y社は期間満了によりXの株券は無効となったため名義書換請求は認められないと主張した。
そこでXは、株式の名義書換を求めて本訴を提起した。
第1審判決は、株券提出期間の経過により未提出の株券は無効となるが株式そのものの効力には影響がなく、期間経過前に株式を譲り受け保有するにいたったXは、期間経過後も会社に対し株式取得の原因事実を主張・立証し、名義書換を請求できるとした。
原審判決は、期間経過により株券が無効となっても適法に株主となったXは株主たる地位を当然に失うものではないこと、Xは適法に株主となったことが証明されており、有効な株券の呈示は名義書換の不可欠の要素ではないと判示した。
Y社は上告した。
Y社は、@株式の譲渡制限の効力が発生した以上、適法に株式を取得した者は効力発生前の株式取を理由に名義書換請求できるというのは論理の飛躍がある、A有効な株券が存在しないときは除権判決を得た上で株券の再発行を受けて名義書換をすべきである、と主張した。 |