AはBに本件建物の新築工事を依頼した。
AはY1保険会社と本件建物につき自己を被保険者とする火災保険契約を締結した。
BはY2保険会社と火災保険契約を締結した。
昭和55年4月10日、X株式会社は本件建物と敷地をAから買い受け、翌日所有権移転登記がなされた。
この際、XはAから保険契約上の権利を譲り受けた。
4月12日、類焼により本件建物が被災した。
本件火災保険普通保険約款8条では、保険目的物の譲渡等の場合には、保険契約者または被保険者は、譲渡等がその責めに帰すべき事由によるときはあらかじめ、責めに帰すことのできない事由によるときはその発生を知った後、遅滞なくその旨を保険会社に申し出て保険証券に承認の裏書を請求しなければならない(1項)、前項の手続を怠った場合には、譲渡の時または譲渡を知った時から保険会社が承認裏書請求書を受領するまでの間に発生した損害については保険金を支払わない(2項)、第1項の事実がある場合には、保険会社は承認裏書請求書の受領の有無に関わらず保険契約を解除できる(3項)旨が規定されている。
Xはこの承認裏書請求手続を行なっていなかった。
XはY1及びY2に対して保険金請求をなした(Y2に対する請求は第1審から一貫して否定されており、以下では省略する)。
原審判決では、本件約款8条は有効であるとされ、Xの請求は否定された。
Xは上告した。 |